「家を売ったお金は、全部自分のものになるの?」「結局、手元にはいくら残るんだろう?」
不動産売却において、売主様が最も気になるのが、お金の話ではないでしょうか。売却して得たお金(売却代金)から、さまざまな費用や税金が差し引かれます。これらを事前に把握しておくことで、手元に残る金額を正確にイメージでき、安心して資金計画を立てることができます。
ここでは、不動産売却で必要になる「費用」と「税金」のすべてを、分かりやすく解説します。
売却時にかかる「諸費用」
まずは、売却手続きの際に直接支払いが発生する主な費用です。一般的に、売却価格の3%~4%程度が目安と言われています。
1. 仲介手数料
不動産会社に支払う成功報酬です。売買契約が成立した時に支払います。法律で上限額が定められています。
速算式(売買価格が400万円超の場合):
(売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税
例:3,000万円で売却した場合
(3,000万円 × 3% + 6万円)+ 消費税 = 105万6,000円
2. 印紙税
売買契約書に貼る印紙の代金です。契約書に記載された金額に応じて、税額が決まっています。
売買価格ごとの税額(例):
- 1,000万円超~5,000万円以下:1万円
- 5,000万円超~1億円以下:3万円
※軽減措置が適用される場合があります。
3. 登記費用
住宅ローンを完済し、抵当権を抹消するための手続き費用です。司法書士に依頼するのが一般的です。
費用の目安:
数万円程度
(司法書士への報酬含む)
※住宅ローンが残っていない場合は不要です。
売却後に利益が出たら払う「税金」
不動産を売却して「利益(譲渡所得)」が出た場合にのみ、その利益に対して税金(所得税・住民税)がかかります。
譲渡所得の計算方法
まず、利益が出ているかどうかを計算します。
譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
- 取得費: その不動産を買ったときにかかった費用(購入代金、購入時の仲介手数料など)
- 譲渡費用: 今回の売却でかかった費用(仲介手数料、印紙税など)
この計算結果がプラスになった場合に、税金がかかります。
税率は物件の所有期間で変わる
税率は、売却した年の1月1日時点で、その不動産を所有していた期間によって大きく異なります。
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下): 税率 39.63%
- 長期譲渡所得(所有期間5年超): 税率 20.315%
【重要】税金を大幅に抑えられる「3,000万円の特別控除」
ご自身が住んでいた家(マイホーム)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を差し引くことができる、非常に強力な特例があります。
例えば、譲渡所得が2,000万円だったとしても、この特例を使えば利益は0円となり、税金はかからなくなります。 多くのケースで、この特例によって売却時の税金は発生しません。
※利用するには一定の要件があり、確定申告が必要です。
まとめ
不動産売却では、仲介手数料などの諸費用と、利益が出た場合の税金がかかります。特に税金に関しては、3,000万円の特別控除をはじめ、様々な特例が用意されています。
ご自身のケースではどのくらいの費用や税金がかかるのか、詳しくは不動産会社の担当者によく確認し、手元に残る資金をしっかりと把握しておきましょう。