媒介契約を結び、いよいよあなたの物件が市場に公開されました。広告を見て興味を持った購入希望者から、次に申し込みが入るのが「内覧(ないらん)」です。
内覧は、購入希望者が写真や間取り図だけでは分からない物件の雰囲気や状態を、五感で確かめる唯一の機会。お住まいになりながら売却される方も、すでにお引越し済みの空き家の方も、第一印象がすべてを決めるという点では同じです。
この大切な機会を成功させるために、物件の状況に合わせたプロの準備術をご紹介します。
第一印象は「5つのポイント」で決まる
購入希望者は、無意識のうちに5つの感覚であなたの家を評価しています。それぞれのポイントを意識して準備を進めましょう。
1. 明るさ
「明るく、広く、清潔に」が基本です。これは空き家でも同様です。
- 全ての照明をONに: 内覧が始まる前に、玄関からすべての部屋、廊下、お手洗いまで、家中の照明を点灯させましょう。(※空き家で電気が止まっている場合は、日中の最も明るい時間帯に内覧を設定してもらいましょう)
- カーテンは全開に: 自然光が最大限入るように、カーテンやブラインドは全て開けておきます。
- 窓や鏡をピカピカに: 窓ガラスや鏡が磨かれていると、部屋全体が明るく見えます。
2. 清潔感
プロのハウスクリーニングは必須ではありませんが、「大切に使われてきた家だな」という印象を与えることが重要です。
- 水回りは徹底的に: キッチン、浴室、洗面所、トイレは特に汚れが目立ちやすい場所。居住中・空き家に関わらず、水垢やカビがないかチェックし、徹底的に磨き上げましょう。
- 玄関は家の顔: 靴は靴箱にしまい、たたきを水拭きするだけで印象が大きく変わります。
- 何もない空間こそ丁寧に: 空き家の場合、ホコリや髪の毛が意外と目立ちます。隅々まで掃除機をかけ、拭き掃除をしておきましょう。
3. 新生活をイメージさせる「空間演出」
購入希望者に「自分がここに住んだら…」と具体的にイメージしてもらうための工夫です。
- 【居住中の場合】生活感を隠す: テーブルやカウンターの上の小物、個人の写真などは一時的に片付け、モデルルームのようなスッキリした空間を目指します。
- 【空き家の場合】温かみを加える: 何もない空っぽの部屋は、かえって広さや生活のイメージが伝わりにくいことも。小さな観葉植物を一つ置くだけで、空間に温かみが生まれ、見学者の想像力を掻き立てます。
4. ニオイ
自分では気づきにくい家のニオイは、訪問者にとって気になるものです。
- まずは換気: 内覧の直前まで、窓を開けて家全体の空気を入れ替えましょう。居住中の生活臭だけでなく、空き家特有の締め切ったニオイや湿気のニオイもこれで解消できます。
- ニオイの元を断つ: ペットやタバコ、生ゴミ、排水溝のニオイは特に注意が必要です。
- やりすぎない芳香剤: 香りの好みは人それぞれです。強い芳香剤よりも、無臭を目指すのが基本です。
5. 室温
内覧時に快適に過ごせる室温に設定しておくことも、大切なおもてなしです。夏は涼しく、冬は暖かくなるよう、担当者と連携して調整しましょう。
当日の心構え:主役はあくまで「家」
準備が整ったら、あとは不動産会社の担当者に任せるのが基本です。
- 立ち会うべき?:
- 【居住中の場合】 基本的には、担当者からお願いされない限り、売主様は外出している方がスムーズに進みます。購入希望者が気兼ねなく質問したり、本音で話したりできるからです。
- 【空き家の場合】 売主様が立ち会う必要はほとんどありません。不動産会社の担当者が責任を持って案内してくれます。
- 質問されたら: もし立ち会う場合は、物件の長所(日当たりの良さ、静かさ、近所の便利さなど)を簡潔に伝えられるようにしておくと良いでしょう。ただし、アピールしすぎず、基本的には担当者に任せる姿勢が大切です。
まとめ
準備が大変だと感じるかもしれませんが、このひと手間が、購入希望者の「買いたい!」という気持ちを後押しします。ぜひ楽しみながら、あなたの家の魅力を最大限に演出してみてください。