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相続した実家を売却する時の注意点と特例

親から実家を相続したものの、「住む予定がない」「管理が大変」といった理由で売却を検討されるケースは少なくありません。

しかし、相続した不動産の売却は、ご自身が住んでいた家を売るのとは少し勝手が違い、特有の手続きや注意点が存在します。また、使える税金の特例も異なるため、知らずに進めると損をしてしまう可能性も。

ここでは、相続した実家の売却をスムーズに進めるための、3つの重要なポイントを解説します。


ポイント1:売却の前に「相続登記」が必須

相続した不動産は、まず「相続登記」を行い、物件の名義を親からあなた(相続人)へ変更しなければ、売却することができません。

  1. 相続人の確定: まず、誰が相続人になるのかを戸籍謄本などで法的に確定させます。
  2. 遺産分割協議: 相続人が複数いる場合は、全員で「誰がこの不動産を相続するのか」「売却して利益をどう分けるのか」といった話し合い(遺産分割協議)を行い、その内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめます。
  3. 名義変更(相続登記): 遺産分割協議書など必要書類を揃え、法務局で不動産の名義を相続人へ変更する手続きを行います。

この相続登記が完了して、初めて売却活動をスタートできます。


ポイント2:「契約不適合責任」のリスクを理解する

あなたが一度も住んだことのない実家を売却する場合、その家の歴史や隠れた不具合(雨漏り、シロアリ被害、配管の故障など)を完全に把握するのは難しいでしょう。

しかし、もし売却後に、契約書に記載のなかった重大な欠陥が見つかった場合、売主は「契約不適合責任」を問われ、買主から修理費用の請求や契約解除を求められる可能性があります。

対策は?

  • ホームインスペクション(住宅診断)を利用し、専門家に建物の状態を事前にチェックしてもらう。
  • 不動産会社の担当者に、家の状況(分かる範囲で)を正直に伝え、契約書に明記してもらう。
  • 「契約不適合責任を免除する」という特約を付けることも可能ですが、買主が見つかりにくくなる可能性があるため、担当者とよく相談しましょう。

ポイント3:使える税金の特例を知る

相続した不動産の売却で利益(譲渡所得)が出た場合、税金がかかります。この時、使える可能性のある2つの特例を知っておくことが非常に重要です。

① 親の購入価格が分かる書類を探す(取得費の確認)

税金計算の元となる利益は「売却価格 -(取得費+譲渡費用)」で計算されます。この取得費とは、「親がその実家をいくらで買ったか」という金額です。

もし、親が購入した時の売買契約書などが見つからず取得費が不明な場合、法律上「売却価格の5%」を取得費とみなすことになり、利益が非常に大きく計算され、高額な税金がかかってしまう恐れがあります。まずは、ご実家やご自身の荷物の中から、当時の契約書等がないか探してみましょう。

② 空き家の3,000万円特別控除

一定の要件を満たす「空き家」となった実家を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

主な適用要件(一部):

  • 相続開始日から3年が経過する日の年末までに売却すること。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家であること。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 親が亡くなる直前まで一人で住んでいたこと。

など、細かな条件が定められています。ご自身のケースが当てはまるかどうか、必ず不動産会社の担当者や税務署に確認しましょう。



まとめ

相続した不動産の売却は、法律や税金が複雑に絡み合うため、専門家のサポートが不可欠です。まずは信頼できる不動産会社に相談し、必要に応じて司法書士や税理士といった専門家と連携しながら、一つひとつのステップを慎重に進めていきましょう。

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