マンションを売ったら、翌年に確定申告をします。
申告が要るかどうか、いつ・何をそろえて・どう出すか、損が出たときと、申告のあとに変わるものまで、順にまとめました。
目次
マンションを売ったら、確定申告が要るか
マンションを売って利益が出たときは、売った翌年に確定申告をします。
利益は、売った金額から、買ったときの代金などの取得費と、売るときにかかった費用を引いた額です。
利益が3,000万円の特別控除で0円になるときも、申告は要ります。
この控除は、確定申告をして初めて使えるからです。
会社員で年末調整を受けている方も同じで、売った利益は年末調整には入りません。
売ったあとの状況ごとに、申告が要るかを並べると、次の通りです。
| 利益が出た | 必要 |
|---|---|
| 控除で税金が0円になる | 必要 |
| 損が出て、特例を使う | 必要(期限内) |
| 損が出て、特例を使わない | 不要 |
損が出ても特例を使わないなら、納める税金は生じないので、申告は要りません。
ただ、損が出たときの特例を使うと、給与などの所得から損を差し引けて、所得税や住民税が戻ったり減ったりします。
所有期間が5年を超えていれば使えることがあるので、損が出たときも確かめてください。
3,000万円の特別控除を使える条件は、3,000万円特別控除の記事にまとめています。
申告の時期と、売った翌年の流れ
2026年中に売った方の確定申告は、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。
税金を納める期限も、同じ3月15日です。
口座からの引き落とし(振替納税)を選ぶと、引き落としは4月の中旬から下旬になります。
振替納税を使えるのは、期限までに申告したときだけです。
税金が戻る申告(還付申告)は、1月1日から出せます。
売った翌年の流れを並べると、次の通りです。
売った翌年の、確定申告の流れ
1月のうちに書類をそろえておくと、申告の期間に慌てずに済みます。
書類をそろえる
手元に集める
売ったときと買ったときの契約書、費用の領収書を手元にそろえます。
いつ1月〜2月
申告する
e-Taxで送る
国税庁のサイトで申告書と内訳書を作り、e-Taxで送ります。
いつ2月16日〜3月15日
納める
税金を払う
税金があるときは期限までに納め、口座振替なら4月に引き落とされます。
いつ3月15日まで
住民税が変わる
通知が届く
売った利益にかかる住民税は、6月から納める分に加わります。
いつ6月から
住民税の申告は、確定申告をすれば別に出す必要はありません。
税務署の窓口は、土日と祝日は原則として受け付けていません。
郵送で出すときは、消印の日が提出した日になります。
申告書に書く数字を確かめる
利益の計算に使う数字
申告書には、売った金額、取得費、売るときの費用を書いて、利益を計算します。
取得費は、買ったときの代金に、仲介手数料や登記の費用など、買うときにかかった費用を足した額です。
それぞれに入る費用と入らない費用は、次の通りです。
| 取得費に入る | 買ったときの代金、仲介手数料、登記の費用、不動産取得税、印紙税 |
|---|---|
| 売るときの費用に入る | 仲介手数料、売買契約書の印紙税 |
| どちらにも入らない | 抵当権を外す費用、修繕費、固定資産税、管理費 |
売った年の固定資産税を、買主と日割りで精算したお金は、売った金額に含めます。
見落としやすいので、決済のときの精算書で確かめてください。
建物は、持っていた年数の分を引く
マンションの取得費のうち、建物の分は、持っていた年数に応じて減らします(減価償却)。
鉄筋コンクリートのマンションなら、建物の価格×0.9×0.015×持っていた年数を引きます。
例えば、建物の価格が3,000万円で15年持っていたなら、607.5万円を引き、建物の取得費は2,392.5万円になります。
契約書に建物と土地の内訳が無いときは、建物の消費税額から建物の価格を出せます。
買った金額が分からないとき
買ったときの契約書が無く、買った金額が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます。
ただ、買ったときより高く売れた都心のマンションでは、5%は実際の取得費より大幅に少なく、税金が増えます。
買ったときの契約書は、売る前から探しておきます。
見つからなければ、通帳の記録やローンの書類、買ったときの不動産会社への問い合わせで、金額を確かめます。
3,000万円を超えると、税金が残る
住んでいた家なら、利益から最大3,000万円を差し引けます。
都心では利益が3,000万円を超え、控除のあとも税金が残ることがあります。
1億2,000万円で売れ、所有期間が5年を超え10年以下のときの例は、次の通りです。
| 売った金額 | 1億2,000万円 |
|---|---|
| 取得費 | −6,500万円 |
| 売るときの費用 | −408.6万円 |
| 3,000万円の特別控除 | −3,000万円 |
| 税金がかかる利益 | 2,091.4万円 |
| 所得税と住民税 | 424.9万円 |
売るときの費用は、仲介手数料と売買契約書の印紙税です。
所有期間が10年を超えていれば、6,000万円以下の部分の税率が下がり、税金は297.2万円になります。
所有期間は、売った年の1月1日で数えます。
2026年に売った方なら、2015年12月31日までに買っていれば10年超です。
売る前に、ご自宅の今の相場は?
町名と広さを入れるだけで、同じエリアで実際に売れた値段から、今の相場がすぐ分かります。
お名前・ご連絡先の入力は要りません。
必要書類をそろえる
申告には、申告書と、利益の計算を書く「譲渡所得の内訳書」を出します。
内訳書は、国税庁のサイトで申告書を作ると、入力した内容から一緒にできます。
手元にそろえる書類は、次の通りです。
| 書類 | どこで | 使い道 |
|---|---|---|
| 売ったときの売買契約書 | 手元 | 金額の計算 |
| 買ったときの売買契約書 | 手元 | 金額の計算 |
| 仲介手数料などの領収書 | 手元 | 金額の計算 |
| 登記事項証明書 | 法務局 | 10年超の税率の特例 |
| 戸籍の附票の写し | 区役所 | 住所が違うとき |
| ローンの残高証明書 | 金融機関 | 損の特例 |
売買契約書と領収書は、税務署に出す書類ではありませんが、金額を確かめるのに使います。
税務署から、見せるよう求められることもあります。
3,000万円の特別控除を使うときも、住民票の写しは要りません。
住民票の住所と売った部屋の所在地が違うときだけ、住んでいたことを示す戸籍の附票の写しを付けます。
登記事項証明書は、部屋の不動産番号を書いた明細書を出せば、省けます。
共有名義のとき
夫婦などの共有名義で売ったときは、持分ごとに利益を計算し、1人ずつ申告します。
3,000万円の特別控除も、条件に合えば1人ずつ最大3,000万円まで使えます。
e-Taxで申告する
確定申告は、国税庁のサイトの「確定申告書等作成コーナー」で、画面の案内に沿って作れます。
マンションを売ったときは、申告する所得として「土地や建物等の譲渡(売却)」を選び、売った金額や取得費を入力します。
e-Taxで申告する流れを並べると、次の通りです。
e-Taxで申告する流れ
入力する
作成コーナーで作る- 売った金額と取得費を入れる
- 内訳書も一緒にできる
送る
マイナンバーカードで送信- カードをスマホで読み取る
- 受信通知を保存する
書類と税金
3月15日までに- 証明書はPDFで送る
- 税金を期限までに納める
マイナンバーカードで送る
e-Taxで送るときは、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取る方法が中心です。
ID・パスワードの方式は2025年10月から新しく発行されておらず、2028年の申告からは使えなくなる予定です。
2026年の申告では、マンションを売ったときの申告書も、スマートフォンだけで作れました。
書類はPDFで送れる
登記事項証明書などの書類は、申告を送ったあとにPDFで送れます。
郵送や税務署の窓口で出すこともできます。
控えに、受付の印は押されない
2025年1月から、紙で出した申告書の控えに、税務署の受付印は押されなくなりました。
e-Taxなら、送ったあとに届く受信通知に、受け付けた日時が残ります。
申告した控えは、住み替えのローンの審査などで求められることがあります。
受信通知と、作った申告書のPDFを保存しておきます。
損が出たときの申告
売った金額が、取得費と売るときの費用を下回って損が出たときは、その損を給与などの所得から差し引ける特例があります。
差し引ききれない損は、翌年から3年間、繰り越せます。
特例は2つあり、新居に買い替えたときと、住宅ローンが残る家を売ったときに使えます。
どちらも所有期間が5年を超えていることなどが条件で、2027年12月31日までの売却が対象です。
新居の住宅ローン控除とも、一緒に使えます。
損の特例は、期限内に申告することが条件です。
繰り越すときは、翌年からも続けて毎年申告します。
期限を過ぎると、損を翌年に繰り越せなくなります。
損が出たときに、申告の前に確かめること
- 所有期間が5年を超えているか(売った年の1月1日で数える)
- 3月15日までに申告を出せるか
- ローンの残高証明書(新居のローンか、売った部屋のローン)
繰り越した損を差し引けるのは、その年の合計所得金額が3,000万円以下の年だけです。
申告のあとに変わるもの
確定申告のあとは、住民税や保険料、家族の控除にも影響します。
主なものを並べると、次の通りです。
| 住民税 | 2027年6月からの分に入る |
|---|---|
| 国民健康保険料 | 利益が保険料に入ることがある |
| 家族の配偶者控除・扶養 | 控除の前の利益で判定する |
| ふるさと納税 | 寄附も確定申告書に書く |
| 新居の住宅ローン控除 | 3,000万円の特別控除とどちらか |
住民税は、2027年6月から
売った利益にかかる住民税は、2027年6月からの住民税に入ります。
会社員の方は6月からの給料から引かれ、その他の方は年4回の納付書で納めます。
3,000万円の特別控除で税金のかかる利益が0円になれば、住民税も増えません。
税金が0円でも、家族の控除が外れることがある
配偶者控除や扶養に入れるかどうかは、3,000万円の特別控除を差し引く前の利益で判定します。
税金が0円でも利益があれば、ご家族の配偶者控除や扶養控除が受けられなくなることがあります。
例えば、共有名義で売った配偶者に利益が出たときです。
2026年分は、合計所得金額が62万円を超えると、配偶者控除の対象から外れます。
年末調整で配偶者控除を受けていた方は、確定申告で直す手続きが要ることがあります。
国民健康保険料
国民健康保険に入っている方は、売った利益が保険料に入ることがあります。
保険料は3,000万円の特別控除のあとの利益で計算しますが、保険料の軽減を受けられるかは控除の前の利益で判定します。
75歳以上の方の後期高齢者医療保険料も、軽減の判定は控除の前の利益で見ます。
区によって扱いが違うことがあるので、お住まいの区で確かめてください。
ふるさと納税
確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は使えません。
申し込んでいても、その年の寄附を確定申告書に書かないと、控除を受けられません。
新居の住宅ローン控除
住み替えで新居の住宅ローン控除を使うときは、旧居の売却で3,000万円の特別控除を使うかどうかを、先に決めます。
新居に入居した年とその前2年・後3年に、3,000万円の特別控除を使うと、新居の住宅ローン控除は使えません。
どちらが有利かは、利益の額とローンの額で違います。
売る前に、税務署か税理士に確かめてください。
まとめ
マンションを売って利益が出たら、売った翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をします。
3,000万円の特別控除で税金が0円になるときも、申告は必要です。
1月のうちに、売ったときと買ったときの契約書、領収書をそろえ、国税庁の作成コーナーで申告書と内訳書を作ります。
損が出たときの特例は、期限内に申告することが条件です。
申告のあとは、6月からの住民税や国民健康保険料、家族の控除にも影響します。
売る前に手元に残る金額の見通しを立てておくと、翌年の申告も慌てずに済みます。
当センターでも、売却の前からご相談をお受けしています。ご相談はこちら
よくあるご質問
3,000万円の特別控除で税金が0円なら、申告しなくてもよいですか。
申告しないままだと控除は使えず、利益にそのまま税金がかかります。
会社員で年末調整を受けていても、申告が要りますか。
利益が出たときや特例を使うときは、ご自身で確定申告をします。
買ったときの契約書が見つかりません。
通帳の記録やローンの書類、買ったときの不動産会社への問い合わせで、金額が分かることもあります。
夫婦の共有名義で売ったときは、どう申告しますか。
申告を忘れたら、どうなりますか。
ただし、本来の税金に加えて、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。